なぜ薄毛や脱毛が起きるのか?

 

 

毛髪の生理を知っている立場から言うと、円形脱毛症などの特別の場合を除いて、抜け毛があったということは、新しい髪が必ず生えてきているということなのです。

 

「そんなこと言ったって、だんだん薄くなっているんですけど……」

 

「そうです。薄くなっているけど、生えているんです。何も、育毛剤を使わなくても自然に生えているのです」

 

発毛自体は、特別に何もしなくても起こっています。育毛剤を使わなければならない状態となる頃は、髪はもう細い状態になって生えてきています。ですから、まるで赤ちゃんを育てる時のように細心の注意を払って、細くて弱々しい毛髪を引き抜かないように大切に育てていかなければ、髪はうまく育ってくれません。

 

「生えてきた気がしない」というのは、「目に見える太い毛になっていない」、「感触的に太く感じない」ということなのです。

 

せっかく生えた髪を引き抜かない

 

 育毛剤・発毛剤を使用することにより、かなりの人が救われていることも事実ですが、特効薬や手品のように、たちどころに髪が生えてくるというものではありません。

 

 育毛剤を使う人たちには、「信じて、期待して、迷って、疑って、やめる。そしてまた別の育毛剤……」というパターンを繰り返している例が非常に多いのです。

 

 毛髪の寿命にはサイクルがあるので、抜けた直後は、どんなにあせっても一定期間は新生毛が生えてきません。まして、目に見えるようになるまでには早くても半年近くはかかりますので、継続して使うことが大切です。

 

 さらに、自分では気がつかない「髪への負担」を与え、せっかく伸びようとしている毛髪の発育をダメにしている人も多いのです。

 

 効果的と言われている育毛剤・発毛剤などを使ったり、経けい口こうタイプの育毛剤を使うことで、発育はよくなって新生毛の伸びは促進されているのですが、普段のシャンプーやスカルプマッサージなどのお手入れが適切でないために、発育が妨害されたり、極端な場合には引き抜かれてしまっています。

 

 かといって、これらのケアをしないでいると、さらに新たな脱毛を引き起こします。

 

 大切なことは、効果的な育毛剤・発毛剤を使い、原因や誘因に対して適切な対処をして発育のきっかけを作り、食事面や精神面も含めた正しい知識を持ち、髪への負担を取り除く適切なケアを続けていくことなのです。その結果、必ずや発育はよくなっていきます。

 

 シャンプーのやり方についても、ほとんどの人が「頭皮を傷つけてしまうから、爪の先でゴシゴシ洗ってはいけません。指の腹でやさしく洗いましょう……」と理解していることと思います。しかし、この方法は必ずしも間違いではありませんが、指の腹で洗うと、新しく生えてきたばかりの細い髪を、指の腹と頭皮の間で擦こすって引き抜いてしまうことが多いのです。

 

 新生毛は、非常に細く固着力も弱い状態で生えてくるので、指の腹で擦られてしまうと簡単に抜けてしまいます。さらに悪いことに、新生毛は細くて短く色素も薄いため、抜けても見えにくいことから、引き抜いていることにすら気がつかないのです。

 

育毛パワーを集結することが大事

 

 現在の脱毛対策は、日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン」「円形脱毛症診療ガイドライン」が発表されて以来、「科学的根拠に基づいているか?」「効果を証明する医学論文はあるか?」「頭髪関連の学会での発表は十分にあるか?」が問われるようになったので、医療機関で治療する傾向が強くなってきました。そのため男性型脱毛症については、飲み薬はプロペシア、塗布薬はミノキシジル、円形脱毛症にはステロイドが主流になっています。

 

 シャンプーやマッサージは、脱毛の直接の原因への対処法ではありません。しかし、ただ単に薬を服用したり塗布をしているだけで、頭皮のケアやマッサージに無む頓とん着ちゃくだったり、正しい方法で行わないでいると、育毛効果が上がりにくくなるばかりでなく、せっかく生えてきた髪を引き抜いたり、かえって抜け毛を増やすこともありうるのです。

 

 風邪をひいた場合には、薬を飲むと同時に、身体を温かくしたり、十分な睡眠をとったり、栄養に気をつけて免疫力を高めることにより、早期の快復を促すことができます。同様に脱毛の場合も、薬剤などでその原因に対処するとともに、髪のお手入れや食生活面、精神面、健康面など、脱毛の誘ゆう因いんに対していろいろなケアを行うことにより、現在生えている髪を長持ちさせたり、発育を促進するパワーを引き出したりすることが可能になります。

 

 脱毛から髪を完全復活させるためには、自分に有効な経口薬、塗布薬、発毛剤、育毛剤、シャンプー剤の使用だけでなく、正しいシャンプー法、マッサージ法なども十分に工夫して実行し、それらのいいとこ取りをしなければならないのです。これらのパワーが集結した時に、最高の効力が発揮されます。よりよい効果を望むなら、薬とケアは「車の両輪」であるというとらえ方が必要になってきます。